キツネのふんに含まれている寄生虫エキノコックスが、人間に感染した場合の症状について調べて見ました。感染確率や、感染経路、札幌でキタキツネが頻繁に見られるようになった理由、今後の札幌の対策についてまとめています。
寄生虫エキノコックスとは?
エキノコックスという寄生虫は世界的に4種類あるとされていますが、今回北海道で問題となっているのは「多包条虫」という種類のエキノコックスです。
多包条虫と呼ばれる寄生虫エキノコックスは、キタキツネがエキノコックスの幼虫を宿した野ネズミを食べることで、キツネの腸内で幼虫が成長し、親虫になります。
そして、その親虫を宿すキツネのフンとともに親虫が生み出した卵が排泄されます。
その卵がまたネズミの口から体内に入り幼虫に育つ。エキノコックスの幼虫を宿したネズミをまたキツネが食べる。
この感染サイクル繰り返しています。
エキノコックス症の症状は?感染確率・感染経路
キツネのふんに含まれている寄生虫エキノコックスの卵が、何らかの理由で人にの口から入ってしまうと、ヒトがエキノコックス症に感染します。
ネズミと同じように人間にもエキノコックス症は感染してしまうのです。
人間のエキノコックス症の症状とは
ヒトがエキノコックス症に感染した場合、主に肝臓や肺に袋状の病巣ができます。まれに脳や骨に病巣ができる場合もあります。
肝臓に病巣ができると、腹部不快感→肝機能障害→発熱→黄疸の症状が出ます。エキノコックス症は感染してから潜伏期間が長いため、しばらく自覚症状がなく、体の異常を自覚するまでに数年かかると言われています。
成人では数十年後に症状が現れますが、子どもの場合はさらに早く症状が出て、死に至る危険性もあります。
エキノコックス症の感染経路
エキノコックス症は症状が出るまで時間がかかるので、感染した本人もどこで感染したのか覚えていないことが多いです。キツネのフンが何らかの原因でヒトの口に入ってくることで感染してしまうのですが、フンを口に自ら含むことはまずないです。
考えられる感染経路としては、フンで汚染された井戸水や、山菜、木の実などを口にしたり、キツネの体やフンに直接触れてしまうことがあげられます。
また、ペットの犬が感染して、飼い犬のフンをヒトが処理して、人へ感染してしまうということも考えられます。人から人への感染はありません。
エキノコックス症の感染確率
北海道の感染確率は旭川市のサイトによると、平成29年度で35.3%でした。
エキノコックスに感染したキツネの糞に触れたり、糞で汚染された山菜や果実などを生で食べたりした場合に、感染する可能性があります。人から人へ感染することはありません。(平成29年度の北海道におけるキツネのエキノコックス感染率は35.3%です。)
エキノコックス症の感染予防策
エキノコックス症を予防するためには、キツネのフンに含まれている寄生虫エキノコックスの卵が口から入らないように気をつける必要があります。
具体的な対策としては、以下の通りです。
- 登山をした際に沢の水を飲まない
- 山菜を生で口にしない
- 手洗い
- ペットの犬を放し飼いにしない、ネズミと接触させない
- キツネに餌をやらない、触れない
札幌でキタキツネが人里に住み着いた理由・原因
北海道は長年エキノコックス症と関わってきましたが、札幌などの北海道の都市部や市街地の公園にキタキツネが頻繁に姿を見せるようになりました。
キタキツネが人里に住み着くようになった原因は、野ネズミを食べる野良猫が減って、キタキツネの餌となるネズミが増えてしまったことにあります。
キツネのエキノコックス感染率は近年上昇傾向にあり、北海道がキツネの死骸などを調査した結果、1979年度は5%、89年度は17%、2018年度は43%まで上昇しています。
寄生虫エキノコックスへの札幌の対策
寄生虫エキノコックスの対応として、キツネの駆除や追い出しは難しいとされており、ベイトと呼ばれる駆虫薬入りの餌をキツネに食べさせる方法が有効とされています。
キツネの感染率を下げて、人への感染を防ごうという対策です。
ベイトは市販されていないもので、札幌の市民団体「環境動物フォーラム」が製造方法を指導しています。
環境動物フォーラムでは、ペット(犬・猫)のエキノコックス検査を実施しているので、ペットが感染していないか検査してみてください。
また、北海道には、公園にキツネに餌を与えないように看板を設置するなどして注意を呼びかけています。